特定技能ドライバーとは?自動車運送業の受け入れ要件・試験・採用方法を解説
- 4 日前
- 読了時間: 15分

特定技能「自動車運送業」は、深刻化するドライバー不足への対策として創設され、一定の要件を満たした外国人ドライバーを受け入れられる制度です。しかし、「どの業務が対象なのか」「外国人本人や企業にはどのような要件があるのか」「採用手続きはどのように進めればよいのか」など、制度は複雑でわかりにくいと感じる方も多いでしょう。また、試験や日本語能力、運転免許、在留資格、支援体制など、事前に確認すべきポイントも少なくありません。
この記事では、特定技能ドライバー制度の概要をはじめ、外国人・企業それぞれの受け入れ要件、採用の流れ、メリットや注意点までわかりやすく解説します。外国人ドライバーの採用を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
特定技能ドライバー(自動車運送業)とは
特定技能「自動車運送業」は、外国人ドライバーを受け入れるための制度であり、制度の概要や対象業務、他制度との違いを理解しておくことが重要です。ここでは、制度創設の背景や対象となる業務、技能実習制度・育成就労制度との違いについて解説します。
2024年に自動車運送業が特定技能の対象分野に追加された
特定技能「自動車運送業」は、深刻なドライバー不足への対応を目的に、2024年から特定技能制度の対象分野へ追加されました。これにより、一定の技能と日本語能力を備えた外国人は、トラック・タクシー・バスの運転業務に従事できるようになっています。制度創設の背景には、物流の2024年問題や担い手不足があり、安定した輸送サービスを維持するための人材確保策として導入されています。
ただし、外国人であれば誰でも就労できるわけではありません。特定技能評価試験や日本語試験への合格に加え、日本の運転免許の取得など、業務区分ごとの要件を満たす必要があります。さらに、受け入れ企業にも協議会への加入や支援体制の整備が求められるため、制度を正しく理解したうえで受け入れを進めることが大切です。
対象となる業務はトラック・タクシー・バスの3分野
特定技能「自動車運送業」の対象業務は、「トラック運送業」「タクシー運送業」「バス運送業」の3分野に区分されています。業務区分によって必要な運転免許や日本語能力、研修要件が異なるため、採用前に従事する業務を明確にしておくことが重要です。
業務区分 | 主な業務 | 主な要件 |
トラック | 貨物運送、積み降ろしなど | 評価試験・日本語(N4相当以上)・第一種運転免許 |
タクシー | 旅客運送、接客、運賃精算など | 評価試験・日本語(N3以上)・第二種運転免許・新任運転者研修 |
バス | 路線・貸切バスの運転、旅客対応など | 評価試験・日本語(N3以上)・第二種運転免許・新任運転者研修 |
いずれの区分でも、車両の点検や清掃、荷物の積み降ろし、運賃精算など、運転業務に付随する関連業務へ従事できます。ただし、関連業務だけを専門に担当することは認められていません。特に利用者への対応が求められるタクシーとバスでは、トラックより高い日本語能力や第二種運転免許が必要となるため、採用する職種に応じて資格や研修を確認しましょう。
技能実習制度や育成就労制度との違い
特定技能「自動車運送業」は、人材確保を目的として、一定の専門性や技能を持つ外国人を受け入れる制度です。一方、技能実習制度は開発途上国への技能移転を目的としており、人材確保を主な目的とする特定技能とは制度の趣旨が異なります。
制度 | 主な目的 | 特徴 |
特定技能(自動車運送業) | 人材確保 | 即戦力人材として就労。試験合格や運転免許取得が必要 |
技能実習制度 | 技能移転・国際貢献 | 技能習得が目的で、人材確保を主目的としない |
育成就労制度 | 人材育成・人材確保 | 技能実習制度に代わる新制度として導入予定。特定技能への移行を見据えた育成を重視 |
技能実習制度は今後、外国人材の育成と人材確保を目的とする育成就労制度へ移行する予定です。ただし、自動車運送業分野が育成就労制度の対象となるかは、現時点では未定です。運送会社が外国人ドライバーを採用する場合は特定技能制度が中心となるため、今後の制度改正や対象分野の決定状況を確認しながら採用計画を立てることが重要です。
特定技能ドライバーになるための要件

特定技能ドライバーとして就労するには、外国人本人が技能、日本語能力、運転免許に関する要件を満たす必要があります。対象となるトラック・タクシー・バスでは、それぞれ求められる評価試験や日本語能力、運転免許などが異なります。
対象職種 | 技能要件 | 日本語要件 | 運転免許・その他要件 |
トラック | 自動車運送業分野特定技能1号評価試験(トラック)合格 | 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)またはJLPT N4以上 | 第一種運転免許 |
タクシー | 自動車運送業分野特定技能1号評価試験(タクシー)合格 | JLPT N3以上 | 第二種運転免許・新任運転者研修修了 |
バス | 自動車運送業分野特定技能1号評価試験(バス)合格 | JLPT N3以上 | 第二種運転免許・新任運転者研修修了 |
トラックでは第一種運転免許、旅客を運ぶタクシーとバスでは第二種運転免許が必要です。また、利用者との円滑な意思疎通が求められるタクシーとバスでは、JLPT N3以上の日本語能力と新任運転者研修の修了も必要となります。採用時は応募者が職種ごとの要件を満たしているか確認し、必要な試験や免許取得の予定も含めて受け入れを進めましょう。
企業が特定技能ドライバーを受け入れるための要件
特定技能ドライバーを受け入れるには、外国人本人の要件だけでなく、企業側も制度で定められた条件を満たす必要があります。対象事業者の条件や協議会への加入、各種認証制度、支援体制の整備などを事前に確認することが重要です。ここでは、企業が特定技能ドライバーを受け入れるための要件について解説します。
受け入れ対象となる企業
特定技能ドライバーを受け入れられるのは、自動車運送業分野に該当する事業者です。対象は、トラック運送事業、タクシー事業、バス事業を営み、関係法令を遵守しながら適正に事業を運営する企業に限られます。単に運送業を営むだけでは受け入れできず、制度の趣旨を理解したうえで、外国人が安心して働ける環境を整える必要があります。
受け入れ企業には、特定技能雇用契約の適切な締結に加え、日本人と同等以上の報酬の支払いや、労働関係法令・社会保険関係法令の遵守も求められます。生活支援や相談体制の整備も欠かせないため、自社が制度の対象となるかを事前に確認し、必要な要件を満たしたうえで採用を進めましょう。
協議会への加入が必要
特定技能ドライバーを受け入れる企業は、自動車運送業分野特定技能協議会へ加入する必要があります。協議会は、制度の適正な運用や法令遵守の推進、受け入れ企業への情報共有を目的として設置されており、構成員として継続的な協力も求められます。
協議会では、制度改正や運用ルール、人材受け入れに関する最新情報が共有されるほか、受け入れ状況や課題について意見交換も行われます。加入は国土交通省が定める手続きに従って行い、届出事項に変更が生じた場合は速やかな届出が必要です。
Gマークや働きやすい職場認証などの要件
自動車運送業分野では、安全で適正な事業運営と良好な労働環境の整備が重視されます。トラック事業者には、原則として「働きやすい職場認証制度」の認証または「Gマーク制度」の認定が求められます。一方、バス・タクシー事業者には、原則として「働きやすい職場認証制度」の認証が必要です。
Gマークは安全管理体制や法令遵守を評価する制度であり、働きやすい職場認証制度は労働時間管理や人材育成、健康管理などを評価する制度です。これらの認証は、安全性や働きやすさを客観的に示すだけでなく、外国人ドライバーが安心して働ける環境づくりにも役立ちます。
支援計画の作成・実施
特定技能1号の外国人を受け入れる企業には、一人ひとりに対する支援計画の作成と適切な実施が義務付けられています。支援計画には、入国時の生活オリエンテーション、住居の確保、行政手続きの補助、日本での生活相談、日本語学習の機会提供などが含まれます。これらは企業が実施するほか、登録支援機関へ委託することも可能です。
就労開始後は、定期的な面談や相談対応を通じて、職場や生活上の課題を早期に把握し、改善につなげることが重要です。適切な支援体制を整えれば、外国人ドライバーが安心して働き続けやすくなるだけでなく、企業にとっても人材の定着や安定した採用につながります。
特定技能ドライバーを採用する流れ

特定技能ドライバーを採用するには、募集から人材選定、要件確認、在留資格申請、入社後の支援まで、制度に沿って段階的に手続きを進める必要があります。ここでは、採用から就業開始までの具体的な流れについて解説します。
募集・人材選定
特定技能ドライバーの採用は、募集方法を検討し、応募者が制度の要件を満たしているか確認することから始まります。採用ルートには、国内在留中の特定技能外国人や技能実習修了者を採用する方法に加え、海外から人材を受け入れる方法もあります。
求人票には、業務内容や勤務地、給与、労働時間、福利厚生を明確に記載し、日本人と同等以上の報酬を設定しましょう。また、応募者が希望する業務区分(トラック・タクシー・バス)と保有資格が一致しているかも確認する必要があります。選考では、運転経験だけでなく、日本語でのコミュニケーション能力や安全運転への意識、接客対応力も重要な判断材料となります。
試験・免許・在留資格の確認
採用予定者については、制度上の要件を満たしているかだけでなく、実際に就業開始できる状態かを確認することが重要です。評価試験や日本語試験の合格証明、運転免許証の有効性、在留カードやパスポートの内容などを一つずつ確認し、書類に不足がないよう整理しておきましょう。
特に海外から採用する場合や在留資格を変更する場合は、申請時に提出する書類が多くなります。免許の取得状況や在留期間、氏名・生年月日などの記載内容に相違があると手続きへ影響する可能性もあるため、採用決定後ではなく選考段階から必要書類を確認し、早めに準備を進めることが円滑な受け入れにつながります。
在留資格申請
在留資格申請では、企業と本人の双方で必要書類を揃え、該当する手続きを確認することが重要です。日本の運転免許を取得していない外国人は、評価試験と日本語試験への合格後、在留資格「特定活動」で入国し、外免切替や免許取得などの準備を進められます。特定活動の在留期間は、トラックが最長6か月、バス・タクシーが最長1年です。
申請後は追加資料の提出を求められる場合もあるため、企業側は速やかに対応できる体制を整えておくことが大切です。また、許可が下りるまでは特定技能として就労できないため、入社日や研修開始日を無理なく設定し、審査期間も考慮した採用スケジュールを組むことで、受け入れ準備を計画的に進められます。
入社・支援開始
入社後は、制度で定められた支援を実施するだけでなく、現場で安心して働ける環境づくりが重要になります。運送業務では、安全教育や運行ルール、車両設備の使い方、緊急時の対応方法などを段階的に指導し、日本での業務に慣れてもらうことが大切です。
また、現場責任者や教育担当者を明確にし、業務上の疑問を相談しやすい体制を整えることで、不安の解消や早期離職の防止につながります。業務習熟度を定期的に確認しながら教育内容を見直し、安全運転と安定した職場定着の両立を目指しましょう。
特定技能ドライバーを採用するメリット

特定技能ドライバーの採用は、人手不足への対応だけでなく、安定した人材確保や採用チャネルの拡大にもつながります。制度の特徴を理解することで、自社に適した採用戦略を立てやすくなるでしょう。ここでは、特定技能ドライバーを採用する主なメリットについて解説します。
ドライバー不足を解消できる
特定技能ドライバーの採用は、人員不足への対応だけでなく、事業運営の安定化にも役立ちます。採用計画を継続的に進めることで、急な退職や繁忙期にも対応しやすくなり、既存社員への負担軽減にもつながります。
さらに、人員配置に余裕が生まれることで、休暇取得や教育時間を確保しやすくなり、安全管理やサービス品質の向上も期待できます。人材不足への対症療法としてではなく、中長期的な組織づくりの一環として制度を活用することで、より安定した運行体制を構築しやすくなるでしょう。
長期的な人材確保につながる
外国人ドライバーが継続して働きやすい環境を整えることは、採用コストの抑制にもつながります。教育体制や相談体制が充実している企業では、業務への理解が深まりやすく、経験を積んだ人材が戦力として活躍しやすくなります。
また、継続して勤務する人材が増えることで、安全運転のノウハウや業務手順を社内で共有しやすくなり、新たに入社する従業員への教育も円滑になります。ただし、自動車運送業分野で受け入れられるのは現時点では特定技能1号であり、在留期間は他分野での在留期間を含めて通算5年が上限です。採用計画では、この在留期間も考慮しましょう。
外国人採用の選択肢が広がる
採用対象を国内人材だけに限定しないことで、人材確保の方法を柔軟に検討できるようになります。採用市場の状況や事業規模に応じて募集方法を選択できるため、地域によって応募が集まりにくい企業でも採用活動を進めやすくなるでしょう。
一方で、制度を活用する際は、受け入れ後の教育や支援まで見据えて計画を立てることが重要です。採用人数や教育担当者、就業開始時期をあらかじめ整理しておけば、現場への負担を抑えながら受け入れを進められ、安定した人材確保につなげやすくなります。
特定技能ドライバーを採用する際の注意点

特定技能ドライバーの採用を成功させるには、制度要件を満たすだけでなく、安全管理や受け入れ体制、教育環境まで含めた準備が欠かせません。採用後のトラブルを防ぎ、外国人が安心して働ける環境を整えることが重要です。ここでは、特定技能ドライバーを採用する際の注意点について解説します。
日本語での安全コミュニケーションが重要
安全な運行を維持するためには、日本語能力だけでなく、現場で正確に情報を伝え合える環境づくりが重要です。点呼や無線連絡、運行指示などで使用する言葉を統一し、重要事項は写真や図を用いた資料も活用すると理解しやすくなります。
また、日常的に質問しやすい雰囲気をつくることも欠かせません。業務中の小さな疑問をそのままにすると、安全面へ影響する可能性があります。管理者や教育担当者が定期的に声をかけ、理解度を確認しながら指導を続けることで、安全意識の向上と職場への定着につながります。
運転免許取得・外免切替に時間がかかる場合がある
採用計画では、免許取得や外免切替の手続き期間を考慮したスケジュール管理が重要です。必要書類の準備や試験日程によって就業開始時期が変わる場合もあるため、採用決定後はできるだけ早く手続きを進めるようにしましょう。
就業開始までの期間は、安全教育や社内ルールの説明、車両設備の操作方法などを学ぶ時間として活用できます。あらかじめ教育計画を準備しておけば、運転業務を開始した後もスムーズに現場へ適応しやすくなり、業務品質や安全性の向上にもつながります。
支援義務や法令順守が必要
受け入れ企業は、制度で定められた支援を実施するとともに、継続的な法令遵守を徹底することが重要です。雇用条件や労働時間、社会保険などの管理を適切に行い、制度変更があった場合にも速やかに対応できる体制を整えておきましょう。
また、支援業務を登録支援機関へ委託する場合でも、企業自身が受け入れ状況を把握し続けることが大切です。定期的に支援内容や職場環境を確認し、問題があれば早めに改善することで、安心して働ける環境づくりと制度の適正な運用につながります。
定着支援や教育体制を整える
外国人ドライバーが能力を発揮するためには、入社後も継続した教育とフォローを行うことが重要です。業務経験や理解度に応じて研修内容を調整し、安全運転や接客、業務手順を段階的に習得できる環境を整えましょう。
加えて、評価面談やキャリア形成に関する説明を定期的に実施すると、目標を持って働きやすくなります。職場全体で外国人材を受け入れる意識を共有し、互いに相談しやすい環境を整備することで、定着率の向上だけでなく、安全で安定した運行体制の維持にもつながります。
特定技能ドライバー制度を理解して計画的に採用を進めよう
特定技能ドライバー制度は、深刻化するドライバー不足への対応策として注目されており、運送会社にとって人材確保の新たな選択肢となります。ただし、外国人本人には試験や日本語能力、運転免許などの要件があり、受け入れ企業にも協議会への加入や支援体制の整備、法令遵守などが求められます。
また、採用後は安全教育や日本語でのコミュニケーション支援、定着支援を継続することも重要です。制度の内容や採用の流れ、注意点を正しく理解したうえで、自社に必要な準備を進め、必要に応じて登録支援機関や専門家も活用しながら、計画的に特定技能ドライバーの採用を進めましょう。
~弊社のサポート内容~
株式会社グローバークスでは、以下のサポートを通じて、特定技能者の受け入れとその後の定着を全面的に支援します。
●書類準備と手続き代行:ビザ申請や労働契約など、必要な手続きを迅速に行います。
●入国後の生活サポート:住宅の手配や生活面でのフォローを行い、特定技能者が日本の環境に早く馴染むようサポートします。
●定期的なフォローアップ:定期的に面談を実施し、特定技能者が安心して働けるようにサポートを続けます。
● 8カ国語対応:日本語、英語、中国語、ベトナム語、シンハラ語(スリランカ)、ビルマ語(ミャンマー)、タガログ語(フィリピン)、インドネシア語で対応いたします。
外国人労働者が日本で活躍できる環境づくりを目指し、人手不足の解消と企業の成長に向けて、心を込めてサポートさせていただきます。貴社のニーズに合わせた最適な人材のご紹介ができるよう、全力でお手伝いさせていただきます。
もし、ご質問やご相談がありましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。




